- 作者: 桜井亜美
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
- クリック: 20回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
亜美さんの作品を愛してしまうのは、
鮮やかで繊細な色彩表現と主人公に潜む孤独が、
ワタシの真ん中に小さな灯りをともすから。
そこへ色情的シーンが差し込まれることで、
作品が「ものがたり」という枠から、
現実に一歩近づくようで、
ワタシの心を捉えて離さない。
プロデューサーである岩井氏とのキャッチボールによって、
映画的に綴られた作品であるとの記述もあるが、
亜美さんの新たな一面を見ているようで、嬉しい。
印象として残る残酷さは一緒だけれど、
いつも感じる全体的な痛々しさは少しだけ和らぎ、
目の前にやわらかな光を感じることが出来る。
それにしても、どうしてワタシは
喪失感に苛まれることになる作品を好むのだろう。
意図している訳ではないのに、気が付けばそうなっている。
類は友?
永遠に失ってしまうのが怖い。
ワタシも同じようなことを思ったことがある。
繋がりがなければ、失うこともない。
ひとりは寂しいけれど、あのどうしようもない喪失感は、
味わうことがなくなると。
でもね、主人公あおいのように、
その思いを頑なに貫く勇気はなくて、今に至る。
結局、失うかもしれないという恐怖感を抱えたまま。
人生って、長いのかな、短いのかな。