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Attacca/SEVENTEEN

10月22日発売の9th Mini Album「Attacca」。“Attacca”とは楽章と楽章の間を切れ目なく演奏するという意味を持つ音楽用語で、相手に対する抑えきれない愛の感情、止められない情熱的な心を“Attacca”といういう単語に例えて表現しているとグローバル記者会見*1にてウジが言っていました。2021年に掲げた「Power of 'Love'」というテーマの下、ウォヌとミンギュが恋と友情のジレンマを歌ったデジタルシングル「Bittersweet」、恋をする準備ができたと歌った「Ready to love」に続き、今作ではより大胆に、熱くアプローチするSEVENTEENの新しい姿を見せてくれるとのことで、予てからCARATへの深い愛情を見せてくれていた彼らが音楽を通して伝えてくれる更なる愛をありがたく享受しました。


公開されたOfficial Photoでジョンハンの人魚姿があまりにも美しかったを手に入れました。


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Track Info

  1. 소용돌이 [To you]
  2. Rock with you
  3. Crush
  4. PANG!
  5. 매일 그대라서 행복하다 [Imperfect love]
  6. 그리워하는 것까지 [I can't run away]
  7. 2 MINUS 1 (Digital Only)


1.소용돌이 [To you]
歌い出しで「그대(君), I always need you」と呼びかけるジョンハンの声に含まれるやさしさとあたたかさが、彼の深き愛を映しているようで、愛を歌うこのアルバムの最初にぴったりの印象でした。ミンギュのちょっと鼻にかかった声で歌う「그대에게 그대에게 전해주고 싶은 이야기(君に 君に 伝えたい話)」が私には刺さりまくったし、ディエイトが歌う「말하고 싶어【マラゴ シポ】」の「ポ」の響きがとても良かったし、2コーラス目のエスクプスの甘くてやさしい声が絶品でした。彼が甘く歌う声は愛そのものだと、私は思いました。強い意志を感じるジョシュアの声から始まり、軽やかに高音部を歌い切るドギョム、「내가 어떻게 갚을 수 있을까요(僕はどうやったら返すことができるでしょうか)」と少し切ない声で歌うスングァンという大サビに向かう流れには心を鷲掴みにされましたし、大サビでの対旋律を歌うウジが圧倒的な歌唱力で、何度聴いても鳥肌が止まらなくなりました。全体的に強さとやさしさを感じたこの楽曲でしたが、「영원한 사랑이 있다면 그건 당신이겠죠(永遠の愛があるなら それはあなたでしょう)」というロマンティックな歌詞があることによって、曲名「渦巻き」の通り、気持ちのいい渦に巻かれて溶かされていくようでした。


2.Rock with you
このアルバムのタイトル曲。情熱的で積極的な愛の感情をロックテイストで表現しているという曲ですが、ベースやドラムのフレーズが短いスパンで変わり、よくあるロック調にならないところや「Baby hold on Baby hold on」を歌うバーノン、ジョンハン、ミンギュが声も歌い方も違うから一曲で三度楽しめるところがSEVENTEENっぽくて好きです。そして、ミンギュが歌う「No words are enough for you」の「are」、ジョンハンが歌う「I wanna」の「I」、どちらも「ア」の響きが絶品でこの歌い回しにたどり着いてくれてありがとうという気持ちに。ハスキーな声を出せるメンバーはハスキーさが強く出るようにしていた気がしますが、特にスングァンの力強くもあるハスキーボイスは、この曲のロック感を出すのにとても効果的で流石のテクニックだなあ、と。大サビ前、音量を抑えたギターとベースだけの伴奏で歌うエスクプスの色っぽい声の余韻を経て、ウジのストレートな声に続く流れが素晴らしく、「I wanna rock with you」と歌う少しハスキーなスングァンの声と金管楽器のように抜けのいいドギョムの声の対比がこれまた素晴らしいし、これまで繰り返し「I wanna rock with you」「I wanna ride with you」と歌ってきたのに、最後にウォヌがアカペラで「I wanna stay with you」と歌うのには完全敗北でした。CARATに対するSEVENTEENの深い愛、そして僕たちは皆、誰かの愛しい人だというメッセージが込められているというこの楽曲に、私は確かに愛されていると実感させてもらった気がします。


3.Crush
サビの「You are my crush I got a crush on you」は君に一目惚れしたという意味で、それをかっこよく表現した曲だとComeback Show 'Attacca'*2にて紹介していましたが、贔屓目なしにかっこよかったです。彼らが思うかっこよさが私にとってのかっこよさと合致したことはとても嬉しいことでした。ベースラインがとにかく私好みで油断するとボーカルよりベースをメインで聴いてしまうくらい気持ちいいフレーズばかりでしたが、だからと言ってボーカルを邪魔しているわけではなく絶妙に絡み合っていて、彼らの歌唱力があるからこそ互いの良さを引き立て合っているのかなと思いました。そして、レコードを再生する時に出るノイズのような音を加えたり、「Run and gun」の「gun」で歌声にエフェクトをかけることによってちょっと引っかかる部分を作ったり、パートとパートの切り替わり部分を被せることによって畳みかけるような流れになっているのが好きなアレンジでした。男性が歌うには少々高い音域もなんてことなく歌っていて、特にドギョムが歌う「내가 믿을 수 있는 건 지금 내 눈앞에 있는 너(僕が信じられるのは 今 僕の目の前にいる君)」は美しい高音を響かせてから強い声で「너【ノ】(君)」で締めるところがドギョム節炸裂、といった感じで最高でした。SEVENTEENと言えばパート割が絶妙で、特に声質に拘ってパートを振り分けているような気が個人的にはしていて、でも今回、今までに聴いたことがないような太くてドライなジュンの声を聴いて、もしかしてテクニックだけではなく声質まで自在に操ることができる領域に全員が達しているのか…と思ってしまい鳥肌が立ちました。なんてすごいグループを好きになったんだろう、と17億回目くらいの気づきを得ることになった楽曲でした。


4.PANG!
パフォーマンスチームの楽曲。相手への気持ちが大きく膨らみすぎてパーンと弾けそうな状態を表現したそうで、すごくピュアで可愛い雰囲気の曲はパフォーマンスチームとしては初めてだったとComeback Show 'Attacca'でホシが言っていましたが、聴いているこちらも思わずにっこりしてしまうくらいの可愛さが詰め込まれていました。「아 따끔해 비(ああ ひどい雨)」の後に「퓨퓨【ピュピュ】」、「도망가 화성 뒤(逃げて 火星の後ろ)」の後には「슘슘【シュムシュム】」、「태양 앞에 물(太陽の前に水)」の後には「칙칙【チクチク】(シュッシュッ)」と効果音を入れて軽やかな雰囲気を出したかと思えば、2コーラス目の冒頭はラップで小気味よさを出しつつも、クレッシェンドしながら歌うことで想いが膨らむ感じを強調し、大サビ前の「I’m a balloon I’m a balloon」は高音で歌うことにより今にも弾けそうな感じが表現されている気がして、おもちゃ箱をひっくり返すような楽しさと「우주를 헤매다(宇宙を彷徨う)」という歌詞の通り、宇宙空間を浮遊してるかのような気持ちよさを感じさせてくれる楽曲でした。ただ可愛いだけではなく、細かな表現で想いを伝えられるところが流石だなあと思いました。


5.매일 그대라서 행복하다 [Imperfect love]
ボーカルチームの楽曲。完璧な恋ではないけど君への気持ちは嘘じゃないという内容で、甘くて爽やかで気持ちいい曲だとComeback Show 'Attacca'にて紹介されていましたがまさにその通りの印象で、簡単ではないフレーズを軽やかに歌い上げられるボーカルチームの歌唱力にはいつものことながら拍手を。特にジョンハンが歌う「그중에 내겐 너만 너만 소중해(その中で僕には君だけ 君だけが大切だ)」は、音が細かく刻まれる「그중에 내겐(その中で僕には)」を想いが強調されるように強めに歌ってから、「너만(君だけ)」をやさしく歌っていて、ジョンハンの声が持つ儚さの中に強さもある感じがこの難しいフレーズにとても合っている気がしました。そして、サビ前の「내가 너에게 딱 맞는 날씨가 되어 주지 못해도 그래도 이런 날 사랑해 주겠니(僕が君にぴったりの天気になってあげることはできなくても それでもこんな僕を愛してくれる?)」という歌詞には胸の真ん中がギュッとなりました。CARATはいつだってSEVENTEENを愛しているよ、と直接歓声で伝えられる日が一刻でも早く来て欲しいと強く願ってしまう歌詞でした。最後を「매일 그대라서 행복하다(毎日君で幸せだ)」と曲名で締め括る美しさに感動しつつ、私も毎日SEVENTEENのお陰で幸せだとあらためて思わせてもらえる楽曲でした。


6.그리워하는 것까지 [I can't run away]
ヒップホップチームの楽曲。「SEVENTEENはこういう曲も歌えるんだなと感じていただけると思います。今回のアルバムには僕たちの曲へのプライドが詰まっています。」とスングァンがグローバル記者会見にて言っていましたが、この楽曲はまさにその言葉通りかと。まず、「恋しがることまでが恋だ」というテーマの下、ヒップホップチームが切なさを声に乗せるとこんなにも生身の人間臭さが出るのかとゾクっとしました。板の上に立つことを生業にしている人たちが敢えてかっこつけず、想いをさらけ出すようにして歌っているような感じがして、逆にかっこよさが際立つなあ、とも。エスクプスの高い糖度で包み込むような声、ウォヌの穏やかさ誠実さが伝わる声、ミンギュの素直さ人懐こさが伝わる声、バーノンの冷静さの中にちいさく燃ゆるともし火のような声から今まさにCARATを恋しがっている彼らの切実さがダイレクトに伝わって来ました。


7.2 MINUS 1 (Digital Only)
ジョシュアとバーノンの楽曲。全世界のCARATの愛情に応えるべく、初めて英語での制作になったというこの楽曲は、別れの痛みと悲しい感情を明るいメロディで相反するように表現し、あえて平静を装っている男性の姿を描いたそうで、普段感情をむき出しにすることが少ない印象のふたりが思うが儘に感情を声に乗せている感じが新鮮でした。特に、「君のことが頭から離れない 君を頭から追い出さないと」と歌うジョシュアが今までに聴いたことがないくらいの力強い声を出していて、まだ開けていない引き出しがあったのかと驚きました。1曲の中で歌声を使い分けられるのがすごいなあとも。そして、ユニゾンで歌うふたりのシンクロっぷりには感動を覚えました。声の相性がとてもいいし、歌い回しが完全一致と言っても過言ではないくらい同じで、聴いていて本当に気持ちが良かったです。


ロック、ポップパンク、トラップといったジャンルが揃うこのアルバムで、彼らは今まで以上に多くの魅力を見せてくれた気がします。より孤独を感じやすい世界で生きる今、彼らの愛に救われていると大袈裟ではなくそう思いました。