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An Ode/SEVENTEEN

9月16日発売の3RD ALBUM「An Ode」。「An Ode」の"Ode"は詩を意味していて、歌の中で表現したい言葉、メッセージを歌にすべて、様々な感じを込めて作ったアルバムだとSHOWCASEにて説明があり、今の彼らから届く想いをできるだけこぼさず、丁寧に受け取りたいと思いました。メンバーによる楽曲紹介はSHOWCASEを視聴した感想を書いた記事*1に纏めてあるので、宜しければどうぞ。


6バージョンというとても悩ましい種類の中から「Truth VER.」を手に入れてみました。


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悩みに悩んでなかなか選べず、最後は色で選びました。ジョンハンの美しさと儚さが薄紫と相まりいっそう際立っている気がします。

Track Info

  1. HIT
  2. 거짓말을 해 [Lie Again]
  3. 독:Fear
  4. Let me hear you say
  5. 247
  6. Second Life
  7. Network Love
  8. Back it up
  9. Lucky
  10. Snap Shoot
  11. Happy Ending -Korean ver.-


1.HIT
デジタルシングルとして先にリリースされた時の感想*2の中でも触れましたが、「新しい色」と「解放」を強調すると明言していたこのアルバムの1曲目に相応しい、インパクトある楽曲です。難しくはない英語を歌詞に散りばめることによって、彼らだけではなくCARATも一緒になって盛り上がろうという想いが込められているような気がします。


2.거짓말을 해 [Lie Again]
デビュー以来、恋から生まれる楽しかったりドキドキしたりする気持ちを楽曲にのせて表現してきた彼らが、雰囲気を一変、悲しく苦しい気持ちを「泣きたくない」という歌詞にしたためた、4th Mini Album「Al1」に収録されているタイトル曲「Don't Wanna Cry」。そこで綴られている歌詞「사랑해서,사랑한다는 말이 부족해서(愛してるからこそ、愛してるという言葉じゃ足りなくて)」がこの楽曲にも出てきたり、「Don't Wanna Cry」にも「맘에 없는 말들로 거짓말이라도 해야돼 해야 돼(心にもない言葉で嘘でもつかないとつかないと)」と「嘘」という歌詞が出てくるので、この2曲が同じ風景で奏でられているような気がして、とても興味深いです。丸みを帯びたベース音が心地良く、そこへやさしく丁寧に声がのせられるから、「また嘘をついて」という歌詞が心のやわらかいところにじわりと染み入る感じがします。


3.독:Fear
このアルバムのタイトル曲。「독(毒)」という強烈な印象を与える曲名にぴったりなウォヌの力強い歌声から始まるところにドキリとします。若干ひずませているように聴こえるベース音にのって、やわらかい声と強い声が波のように寄せては返すを繰り返すのは彼らの得意とするパート割だと思いますが、アカペラで「계속해 반복해 나쁘게 사랑해 Oh 또 후회해(続けて繰り返して悪く愛して Oh また後悔して)」と囁くようにジョンハンが歌うところは、これはすごい!と心を奪われました。彼にしか出せない色っぽい声をクリアに聴かせてくれるアレンジには拍手です。終盤、心から溢れる苦しみを音で表現するならこの形しかないのではないかと思わせる、ドギョムとスングァンによる高音域の叫びは圧巻です。毒に侵されていく痛みと苦しみが刺さってくるようでした。


4.Let me hear you say
ほぼ前奏なしで始まる冒頭の高音域をさらりと歌うドギョムの技術力は流石のひと言です。続いてジョンハンが歌う「모르는」の強めに音を当てた「모」から一変、とても色っぽく聴こえる「르」の発音が個人的には大好物で、超絶技巧だったり爆裂な声量の持ち主たちに囲まれて、少々控えめな声の存在になりがちのジョンハンの表現力の引き出しが解放されている気がして、嬉しくなりました。心地良いリズムに強い想いを乗せている楽曲ですが、その中にとてもキュートな歌詞を散りばめて、重すぎない印象に仕上げてくれるところが彼らのやさしさなのかな、と。テンポ良く刻まれる打楽器音の上に、「Baby chocolat 보다 더 달콤 달콤해(Baby chocolatよりもっと甘い)」という歌詞を小気味良く乗せているところは特に軽やかな感じが出ていて好きです。勢いある楽曲やバラードよりも、こういったゆったりゆらりとするような楽曲を表現する方が難しいような気がするので、彼らの表現力の幅や深さに唸らざるを得ません。


5.247
パフォーマンスチームの楽曲。ここ何枚かのアルバムにおけるパフォーマンスチームの楽曲と言えば、彼らが軽やかに舞うことが容易に予想できる、聴いているこちらの体が勝手に動き出すほど気持ちいいリズムが印象的な楽曲が多かった気がするので、やわらかなストリングスによる前奏から始まり、やさしい声が流れてきた瞬間に感じた体を包むような温かみは新鮮に感じました。寄り添われるような感覚もあったのですが、何度聴いてもその感覚は変わりませんでした。24時間、7日間、ずっと、という想いを込めた楽曲は、いつもCARATのことを想ってくれている彼らが歌うと温度さえも伝わるんだなと。甘くてふんわりとしたジュンとディエイトの声が楽曲にぴったり合っているし、強い意志が感じられるホシとディノの声がそこに混ざり合って楽曲の色味が変化していくところは、季節が移ろう時に感じるゆるやかな変化と同じ感じがします。


6.Second Life
ボーカルチームの楽曲。第二の人生が来ても君をずっと愛したいという想いをやわらかい音に乗せてやさしく歌われているのが印象的です。サビ部分のパート割がウジ→ドギョム、ジョンハン→ジョシュア、ドギョム→スングァンと全て違うので、同じフレーズでも違った雰囲気を届けることができるのはボーカルチームの強みだと思いました。そして、この楽曲で一番盛り上がるパートが「忘れられることはよくあるけれど、そのありふれたことは僕にとっては全然簡単じゃないのか」といった内容の歌詞で、突き抜けてくる特徴的な声のウジが歌うことで、苦悩する心情がより伝わってくる気がします。その裏で鳴っているピアノの音が美しく、とても繊細なアレンジに聴き惚れました。


7.Network Love
ジョシュア、ジュン、ディエイト、バーノンの楽曲。4人は尖った感情を上手く受け流せる能力が高い印象で、それはアメリカ、中国出身者として韓国で活動しているからなのか、そもそもの性格によるものかは分かりませんが、たまには波も立つけれど基本的には穏やかな湖面のような人たちだと私は思っていて。そのグローバルメンバーが揃って作り上げられた世界は、生まれた瞬間に決まってしまった所属はあるけれど、オンライン上のネットワークを通じれば所属は関係なくお互いの心を理解できるということを心地良い電子音とともに歌っていて、その軽やかさがとても気持ちいいです。ジョシュアとジュンが高音域をさらりと歌っているのが軽やかさを強調している気がします。とても美しい歌声です。


8.Back it up
ヒップホップチームの楽曲。「HIT」と同様、解放のメッセージを込めているということで、「HIT」の歌詞に出てくる「쇠뿔 달린 버펄로 오직 직진 들이받아(牛の角付いたバッファロー ひたすら直進衝突して)」と似たような歌詞「쇠뿔 달고 뛰어 일직선(牛の角付けて走って一直線)」があり、両曲を関連付けているのが面白いな、と。ベース音を強く押し出すことで元々雄感を全開に出すのが得意なヒップホップチームの強さとかっこ良さが前面に出てきていて、思わず拳を突き上げたくなる衝動に駆られました。「뚫어버려【ットゥロボリョ】」と歌うバーノンの巻き舌がかっこ良すぎるので、巻き舌好きの方がいらしたら是非聴いていただきたいです。


9.Lucky
かっこ良くて可愛いのはSEVENTEENの得意ジャンルだなと感じる一曲。ノリノリで聴いているとあっという間に終わってしまって、もう一回聴かなきゃ!とエンドレスリピートに突入します。疾走感ある中、何度も繰り返される「Lucky」というフレーズに元気を貰えるので、元気を出したい時にオススメしたいです。私は、エスクプスがラップと歌う時とは大きく印象を変えて、やさしく甘い声でメロディアスなフレーズを歌うのが大好物なので「가끔 우리는 AIRBAG 이 필요해 웃음 뒤에는 Oh(時々僕たちはAIRBAGが必要で 笑いの後には Oh)」のところにキュンキュンしました。


10.Snap Shoot
「新しい色」を強調するアルバムの中に、新しいけどよく知っている雰囲気の楽曲を入れてくれる彼らのやさしさを感じます。デビュー以降しばらくの間は爽やかさを前面に打ち出して活動をしてきた彼らを好きになったCARATのことを忘れていないよ、一緒に楽しく歌おう!というメッセージが込められている気がします。この先何年経とうが初心を忘れず、楽しくて可愛い表現を続けてくれる未来がありそうで嬉しくなるし、「네 옆엔 내가 있고 너는 내 옆에 있는(君の隣には僕がいて 君は僕の隣にいる」という歌詞の通り、SEVENTEENとCARATができるだけずっと隣にいられたらいいなあと思わせてくれる楽曲です。


11.Happy Ending -Korean ver.-
フルアルバムに日本でリリースされた楽曲の韓国語バージョンを入れてきたことに驚いたとともにとても嬉しかったです。そして、彼らの想いを「Ode」に込めたアルバムの最後の曲が、SEVENTEENとCARATのエンディングはいつもハッピーであろうという意味を含んでいる楽曲であることに、彼らの願いや祈りのようなものを感じました。日本語バージョンと韓国語バージョンとでは、違う歌い回しをしているところもあって、その言語に合った歌い回しを選択している丁寧なディレクションが好きです。


進化を続ける彼らから届けられた一枚はいっそう洗練されていて、気持ち良くなる音の上に、深い想いを込めた言葉がたくさん乗せられていました。音楽が好きだ、好きな音楽をCARATに届けたい!という気持ちが伝わってきた気がして、楽曲との相性がいいアーティストに出会えたという奇跡にあらためて感謝したいと思いました。