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Face the Sun/SEVENTEEN

5月27日発売の4th Album「Face the Sun」。唯一無二であり壮大な影響力を与える太陽のような存在になろうというSEVENTEENの強い意志を正直に表現したかったとComeback Show 'Face the Sun'*1にてウジが言っていましたが、2年8ヶ月ぶりにリリースされるフルアルバムへの並々ならぬ気合いを感じました。そして、今作にはHIGHLIGHTER PENが封入されており、LYRIC BOOK記載の歌詞には赤ペンで丸だったりアンダーラインが引いてあったりして、皆さんも気になる歌詞はこのペンでマーキングしてみてはどうですか?と言われたような気がしました。過去には、7TH MINI ALBUM 헹가래[Heng:garæ]でアルバムにネジが封入されていて、手に入れた人が自由にアルバムのブックレットを制作できるという試みだったり、Special Album ; [Semicolon]ではWeaving Kitが封入されていて、編み上げるとセミコロンがデザインされた織物が出来上がったりと遊び心を見せてくれたことがあり、今回封入物においてもカムバックしてくれてうれしくなりました。


公開されたOfficial Photoでジョンハンがまるで拘束されているかのように見える衣装を着て、力なくこちらを見つめる様子にゾクっとさせられた<ep.2 Shadow>を手に入れました。



Track Info

  1. Darl+ing
  2. HOT
  3. DON QUIXOTE
  4. March
  5. Domino
  6. Shadow
  7. 노래해('bout you)
  8. IF you leave me
  9. Ash


1.Darl+ing
今アルバムのリリースに先駆けて4月15日に先行公開された、グループとしては初の全編英語詞の楽曲。「Face the Sun」が太陽に直面するSEVENTEENを表現しようとしたアルバムであり、その太陽に直面する前、恐ろしさに出会う前のSEVENTEENの姿を表現した楽曲だとComeback Show 'Face the Sun'にて紹介されていましたが、今までのSEVENTEENからよく感じられていた清涼さ、可愛らしさ、温かさがギュッと凝縮されている印象を受けました。「When you're not here 911 calling(君がここにいない時は119にコール)」という独特だけど真っすぐな感情表現は、いつも真っすぐにCARATを想っていてくれる彼ららしさが滲み出ていて、心のやわらかいところを撫でてもらった気がしました。ミンギュが歌う日本語で言うところのナ行の響きがとても好きなので、「Yeah the taste of this tequila I'm drinking now」の「now」は、やっぱり好き!と再確認させてもらえたフレーズでした。「Been waiting for your call every night But I can't wait no more」の高音域を軽やかに歌うドギョムとスングァンは流石の歌唱力でしたし、ゆったりと心地いい雰囲気の楽曲においても、しっかりとメインボーカルふたりの存在感を示してくれるところが好きです。そしてジョンハンのやわらかくて甘い歌声はこの楽曲の雰囲気にぴったりで癒しそのものでした。


2.HOT
このアルバムのタイトル曲。太陽に正面から向き合いながら勇気を出して成長していくSEVENTEENならではのストーリーで、その中に野心と情熱がたくさん込められている熱い楽曲。哀愁を感じさせるギターのフレーズによってじんわりとした熱を感じさせる冒頭から始まり、エフェクトがかかった声や歌い終わりに強めのアクセントを置くことによって行くぞ行くぞと聴く側に期待感を持たせ、ボイスパーカッションで一旦呼吸を整えてから「음악 소리 크게 Turn up」で加速する感じが挑戦的でとても好きです。私はこの辺りに野心のようなものを強く感じました。「Say ah 뜨거워 뜨거워 뜨거워」で同じ言葉を繰り返すことによって助走を付けてから、ドギョムの力強い歌声に入っていくところもこの楽曲の熱さを象徴しているようでいいなあ、と。同じ歌詞でも声質が違うメンバーが歌うことによって何度でも美味しく頂けるという大所帯の強みを生かしたパート割とこの楽曲で唯一凪いでいる「깊은 숲을 헤치고서 달려 깊은 바다 위에 태양이여(深い森をかき分け走れ 深い海の上の太陽よ)」をジョンハンが歌っているのも秀逸。真っすぐな声質で力強く歌うサビと裏声で美しく響かせるフレーズという違った表情を楽しませてくれたホシの技術力には拍手を。大サビの「우리는 Drop it like HOT HOT HOT」から「(Boom Brr Boom Boom)」の間で聴こえてくる裏旋律が鳥肌モノの良さで気持ちが荒ぶりました。最後、「뜨거워 이 노래 Everybody 떼창(熱いこの歌 Everybody 歌え)」で聴く側を歌う側に連れて行こうとする熱さは私にとっては太陽そのものでした。


3.DON QUIXOTE
小説上の主人公であるドン・キホーテのように壮大な冒険心を忘れずに、勇気を出して前に進んでいこうという希望が溢れたメッセージを込めたという楽曲。冒頭、四分音符で刻まれる手拍子に似た音が物語の始まりを表しているようで、じわじわと気持ちが盛り上がりました。そこから頭サビに入ってベースが加わり、続いてバスドラムが加わって音が厚くなる流れと、サビの終わりで下がっていくブーン音を入れることによって一旦流れを切り、Aメロに入るという流れが好きです。無意識で身体がノッてしまうくらい好きな楽曲なので、ここも好き、そこも好きと好きだらけなのですが、特に、ジョシュアのパート「Ice and motivation」の「ī」がほんの少しがなるような歌い回しになっているところと、ミンギュのパート「My hands up, I keep'em high 두려운 건 내 속에 나」で音が一番上がるところの響きと少し掠れた声、ドギョムが歌う「모든 걸 불태운 밤」の「운」と「Feeling like DON QUIXOTE」の「XO」の響きが色っぽくてめちゃめちゃに好きです。「미쳤다 해도 좋아(狂ったと言われてもいい)」と歌うSEVENTEEN、最高です。


4.March
自分勝手に気の向くままに感じるままに、怖がらず勇敢に前に進もうという意味が込められている楽曲。冒頭、ひずませた低音と心地良く響くシンセサイザーの音は威勢よく行進するSEVENTEENを表しているようでゾクっとしました。曲名を知った段階では軍隊のようにガシガシと歩いて行進するイメージを抱いていましたが、歌詞に「Like a cowboy」とあるので、馬に跨って駆け抜ける様子を想像しながら聴くと、力強さに加えて疾走感も感じられた気がしました。歌うようなベースの動きも力強さを後押ししていて好きです。畳みかけるように「Burning up Burning up」を歌うエスクプスが天才だと思いましたし、2コーラス目の頭で直線的に押さえつけるようにして歌うウォヌがウォヌにしかできない歌い方をしていた気がして震えましたし、大サビ前、ギターの音に負けない勇ましさで歌うバーノンとホシには唸りました。気持ちを強く持ちたい時、この楽曲が力を貸してくれる気がします。


5.Domino
倒れることが予想されたドミノのように、すでに相手に気持ちが傾いていて恋に落ちる準備ができているというSEVENTEENのときめきが表現されている楽曲。ときめくSEVENTEENは可愛いに決まってますし、歌い出しがジョンハンなのが大正解で一瞬で可愛いが溢れ出しました。「내 모든 건 널 따라서 움직여(僕のすべては君に追い付くために動く)」という歌詞が素晴らしい上に、歌うジョシュアとディエイトの声がやわらかくて甘いからキュンとしましたし、「3, 2, 1 Domino」のリズムの心地良さ、歌うエスクプスとウォヌの囁くような低音ボイスが恋に落ちる瞬間を表現しているように感じてドキっとしました。ミンギュが歌う「더 더 더(もっともっともっと)」「More More More」のグルーヴが天才的でしたし、「넘어져라 내 쪽으로(倒れて僕の方に)」ではもどかしさみたいな気持ちを歌わせたら宇宙一だなと思わせてくれる声と歌い回しでした。ドミノは慎重に並べていくけれど一瞬で倒れていく感じは恋と一緒ですし、軽やかに響く音の数々は照れ臭さを隠すような印象も受けて、私がこの楽曲に恋をした気がしました。


6.Shadow
全ての人に恐れや暗い面があるけれど、この曲にはSEVENTEENだけの暗い面を影に喩えて、「この姿でさえ僕だから そうだよ 一緒に行こう」と暗い面を認めて共に行こうという意味が込められているという楽曲。冷静さを求められる歌詞「어느새 우린 닮아가고 있었어(いつの間にか僕たちは似ていっていた)」を歌うディエイトとバーノンはふたりとも感情を制御するのが上手な印象そのままの歌い方だったのが素晴らしかったですし、「Shadow my Shadow my Shadow」というこの楽曲を表す歌詞を歌うミンギュ、ウォヌ、ホシ、バーノン、エスクプスがそれぞれの個性が出ていてとても好きでしたし、特に、少しがなるように歌っていたエスクプスは心の叫びがそのまま声に乗っている気がしてゾクっとしました。ラップを歌うディノの技術力には感嘆ばかりでしたが、「부정하기 바빴었던 어제(否定するのに忙しかった昨日)」の部分は練習でこのグルーヴ感は出せるのだろうか…天性のものかもしれないと思いました。彼の渾名である"K-POPの未来"に相応しい歌声でした。「미워하고 아파도 했어(憎くて苦しくもあった)」「이제 난 알아 너 또한 나인걸(もう僕は分かっている 君は同じく僕だと)」「달렸어 네게서 도망치려(走った 君から逃げるために)」「도망치는 내 모습이 너무 싫었어(逃げる自分の姿がすごく嫌だった)」という歌詞からは、いつも笑顔で惜しみない愛をくれるSEVENTEENの、普段は上手く隠してくれている本音に少し触れられた気がしました。暗いところも理解し合い、これからも隣を歩いて行けたら…そう思わせてくれる楽曲でした。


7.노래해('bout you)
デビュー曲「Adore U」の歌詞にある「너를 노래해 U Hoo」から始まっているというこの楽曲は、君を歌うという表現に、より大きな意味を込めてチームSEVENTEENへの愛を表現しているとのことで、デビューから7年が過ぎ、再契約をしてくれた彼らだからこそ作ることができた楽曲なのだと思いました。それを知ってからじっくりと聴くと、明るい声を聴きながら胸がジーンとしてしまって泣き笑いしてしまいました。やわらかな陽光が降り注ぐような景色が見える雰囲気の中に、ディノが歌う「커져가는 심장 소리(大きくなる心臓の音) Boom Boom Boom Boom Oh yeh」「내겐(僕には) Alphabet number HIJK LOVE yeh」の小気味良さだったり歌詞の面白さ、「시선 Point Point Point」の最後のpointで弾けるように歌うミンギュ、「나는 청개구리(僕はアオガエル) Bebe」の後、合いの手の「Bebe」に強くエフェクトがかけられていて誰が歌っているのか分からない感じにしていたり、「Pew Pew Pew Pew 쏘네(撃つよ)」を歌うバーノンのリズム感の良さだったりと、重くなりがちな愛情を負担に感じさせない配慮が感じられる軽やかさが散りばめられているところがとても好きです。「나의 마음 멜로디로 담은 노래(僕の気持ちをメロディーに込めた歌)」「너를 노래해 지금부터 이 노래(君を歌う 今からこの歌)」「너만이 너만이 너만이(君だけが 君だけが 君だけが)」「너만이 다 너만이 다 가져 줘(君だけが全部 君だけが全部持ってて)」「이 노래 너에게 바칠게(この歌 君に捧げるよ)」、そう思っていてくれる人たちに出会えて良かった、と心から思えました。


8.IF you leave me
SEVENTEENと共にいる全ての人が僕の傍から離れないでいつも一緒にいようというメッセージを込めたファンソング。イントロのピアノの旋律が繊細でやさしくて、でも切ない感じもして、一瞬で心を持っていかれました。こちら側に見せてくれる多くが明るい表情、声であるSEVENTEENの、心の奥底に秘められた想いが静かに溢れ出してくるのをこちらも静かに受け止めました。どちらが裏旋律なのか分からないくらい美しい掛け合いがあったり、ミンギュとバーノンが掛け合うところから刻む伴奏が加わり、「더 너 없는 내일은 싫어(もう君のいない明日は嫌だ)」とストレートな感情を歌ったり、続くエスクプスが「무얼 줘도 아깝지가 않아(何をあげても惜しくない)」と無償の愛を歌うところにはグッときましたし、ホシが「내가 뭘 할 수 있을까요(僕に何ができるのでしょうか)」「살아 숨 쉬는 이유는 너인데(生きて息をする理由は君なのに)」と切なげに歌うところでは、陽の声の持ち主なのにこれだけ切ない声が出るということはどれだけ苦しい時間を過ごしてきたのかと、胸が詰まりました。SEVENTEENの技術力は十分に知っていたはずでしたが、この楽曲における感情表現の豊かさにはあらためて感動を覚えました。「IF you leave me」だなんてそんな悲しいこと考えなくたっていいのに、と私は思うけれど、ファンは勝手な生き物だってことも知ってるから、叫びのようなこの歌を聴くたびに美しいハーモニーに酔いしれながら、大丈夫だよ、あなたたちが進み続ける限りは私たちの多くはここにいるから大丈夫、と思ってしまうのかなと。LYRIC BOOKの「이대로 영원하기를(このまま永遠でありますように)」部分にアンダーラインが引いてあったのを見て、私も永遠を願わざるを得ませんでした。


9.Ash
自分たちを閉じ込めている全てのことを燃やして灰だけを残したまま、新たな世界に向かっていこうという楽曲。バーノンによると、2コーラス目のヴァース(サビ前までの導入部分)は不死鳥を思いながら書いたとのこと。アルバムのトラックの順番は曲の展開がスムーズで不自然に感じないように、そしてこのアルバムで伝えたいことを聴く側が理解できるようにたくさん考えて決めているとウジが言っていましたが、「HOT」で太陽と向き合ったSEVENTEENが一度は灰になるけれど、ちりちりと燻る灰から不死鳥のごとく蘇り、やがて太陽になる情景が目に浮かぶようでした。この曲をアルバムの最後に持ってくることによって、新たなSEVENTEENを見せてもらえる期待感が高まりました。エフェクトをかけたホシの声が楽曲の雰囲気にぴったりでしたし、エフェクトがかかった声で低音を歌うスングァンには痺れました。そして、オクターブユニゾンが大好物なのでサビではゾクゾクさせてもらいました。バーノンと言えば、誰にも真似できないような絶妙なグルーヴだったり、畳みかけるような歌い方だったりが得意技だと常々思っていましたが、今回はインテンポで平坦に歌っていて新鮮でした。静かに燃えているようなこの曲の雰囲気にぴったりだった気がします。「느끼고 싶어 다음의 감각(感じたい 次の感覚)」「미치고 싶어 내일의 나(夢中になりたい 明日の僕)」と高音域を歌うドギョムは圧巻でした。難しいフレーズをさらりと歌ってくれてとても誇らしかったです。


走り続けるSEVENTEENがどれだけの想いを込めてこのアルバムを制作したのかは、私の語学力では拾い切れていないだろうなあと思うともどかしくて仕方がありませんが、受け止めることができた想いは忘れずに、これからも彼らとの時間を大切に生きたいなあと思いました。